二十代までは、四季で夏が一番好きだった
友だちと海に繰り出したものだ
還暦を過ぎた僕は、夏も冬も嫌いだ
やはり、秋に春が好きだ
日が落ちて、野原にコオロギが鳴き始めている
秋の知らせだ
さすがに、近辺の野原に鈴虫はいないようだ
一番、秋の知らせらしい鳴き声は、鈴虫だろう
あのか細い枯れた姿が、日焼けしたようなキリギリスとは好対照だ
まさに、秋の着こなしをした管弦楽奏者だ
拙句一句
耳寄りな
お知らせをする
こほろぎや
たぶん、気温が低くなりだすと、コオロギは鳴くのだろう
ほとんどの昆虫は、冬眠や冬越えはできない
秋で尽きる命
連載:妄想爺やの春夏秋冬4