浮穴みみ の 夢行脚 俳人・諸九の恋

★3.3 久留米藩領に生まれた俳人・諸九尼の生涯を描く。諸田玲子の短編集「花見ぬひまの」がきっかけ。俳号はミサゴ(雎鳩)の音読みから諸九(しょきゅう)としたらしい。

金森敦子のノンフィクション『江戸の女俳諧師「奥の細道」を行く』を読んだせいか、物語としての面白味が弱くなってしまった。

近くの同じ庄屋に嫁いで10年も子ができないなみは俳諧という別世界を知る。あろうことか旅の俳諧師・湖白と欠落ちしてしまう。

俳諧という世界がいかに魅力的だったか、その描写はなるほどと思わせる。だが、欠落ちという罪人が両親や姉妹にいかに迷惑をかけるかということへの葛藤や、