誘拐事件の標的

 百田尚樹の「野良犬の値段」を読了した。著者は放送作家出身の小説家で、2013年、「海賊とよばれた男」で第10回本屋大賞を受賞しているが、最近はライトサイドの論客としても有名である。2013年にNHK経営委員に就任しているが、その激烈な発言が批判を受け、一期で退いている。本書は、著者が初めて手掛けたミステリーであり、六人のホームレスの誘拐および殺人事件が描かれている。なお、本書は二部構成であり、第一部は主として警察及びマスコミ側の、第二部は主として誘拐犯側の視点で描かれている。
 五月八日の深夜、ツイッターを眺めていた二十四時間営業の定食屋の店員の佐野光