朝井まかて の ボタニカ

★3.3 「日本の植物学の父」といわれる牧野富太郎(1862~1957)の生涯。ボタニカはラテン語で植物学のことらしい。

子供の頃から異常に植物に興味を持ち、西洋に遅れる植物の研究に没頭する。己で野山に分け入り、採集、標本作りを独力で行う。

学位のような権威に類するものに全く興味を抱かず、経済的観念も全くない奇人。俸給月30円の時代に3万円の借金とは。高知の実家が裕福であったこと、妻の壽衛(すえ)のやりくりで己は全く関知しない。書物と図鑑の自費出版にすべてをつぎ込んでしまう。

このくらいに打ち込まなければ大成しない学問なのかもしれない。この作者しか