連載:俳句帳

4月の俳句帳(108)令和四年4月30日

1)きな臭い穀物畠霾(つちふ)れり

2)清明の神より御加護戦火の地

3)木洩れ日を浴びし山門春絵の具

4)川瀬音岩場に残し鳥帰る

5)笙(しょう)の笛光が音へ春雅楽

6)臍(ほぞ)先をはめる槌(つち)音建てる春

7)到来の煎茶白磁で芳(かお)る春

8)蹲踞(つくばい)へ流るる筧(かけい)春調べ

9)ベンチ下伸び放題に草青む

10)葉裏より輝(ひか)る紋白庭を舞ふ

11)黄(き)の花に粉(しろ)蝶光る鄙(ひな)の里

12)白首の婚姻色や川鵜(う)浮く

13)藍染めの小皿耀(かがよ)ふ庭の春

14)山一山(やまいちざん)万樹を灯す木