北方謙三 の 悪党の裔(すえ)上下

★3.5 西播磨の千草川上流にある赤松村の悪党を自認する豪族である赤松円心の半生を描く。

〔悪党の裔(すえ)上〕
時代は元徳元年(1329年)頃、尊雲法親王(後の大塔宮護良親王)が天台座主となって叡山の僧兵を集めて武術の鍛錬を始めた。正中の変(元亨4年、1324年)から5年後のこと、各地で悪党と呼ばれる者たちが蜂起し、六波羅探題などがその鎮圧に手を焼いていた。摂津、河内、和泉では楠木正成がこの10年で、物資の移送という業態を基盤にした悪党として名を成してきている。その楠木正成との出会い。

「悪党」とは、貴族や大寺社などの荘園領主が、自分たちの支配に敵