梓澤要 の 恋戦恋勝

★3.5 6つの短編。路が馬琴の代筆するようになってからの晩年、路と関係のある者たちの群像劇。この作者の特徴でもあるドロドロとした生身の人間関係を描いていく。

「恋戦恋勝」
路が滝沢家に嫁いで14年、36歳となり、夫の宗伯が亡くなって6年になる。姑の百が亡くなって初七日後、馬琴の口述筆記をしながら過去を振り返っていく。馬琴のこと、夫の宗伯とのこと、子供のこと。路にはかつて浅井啓二郎という想いを寄せる男がいた。

「恋は隠しほぞ」
下女のおよねの物語。農家に嫁ぎ娘を得たが夫を亡くした。娘を実家に託し江戸へ出たおよねは、奉公先を転々とし滝沢家へ。前の奉公先