連載:薩摩よみうり俳句

薩摩よみうり文芸 俳句 6月14日(火)

薩摩よみうり文芸 俳句 6月14日(火)
       俳句 大川畑 光詳 選

箸づかひ厳しき祖母よ豆の飯  霧島 久永のり尾
(評)夏の季語「豆の飯」に述懐を配した取り合せの句。豆飯はグリンピースを炊き込んだご飯。緑と白の色彩の対照が美しく、初夏のさわやかな気分が味わえる。子供は豆を箸で挟もうとしてこぼすこともあろう。豆飯を食べながら箸使いに厳しかった明治生まれの祖母がふと思い出されたのだ。

夏草や記紀に伝はる熊襲(くまそ)穴 霧島 尾上 春風
遠ざかる母郷の空や蛍飛ぶ    薩摩川内 谷口千枝子
真つ当に生きて妻恋ふ蛍の夜     霧島 秋野 三