連載:読書

「弱者の暴力」:『星を掬う』

私は「本屋大賞」という言葉に弱い。大賞を取った作品に今まで外れがなかったからだ。

本作『星を掬う』にも「本屋大賞」の文字があった。「2021年本屋大賞受賞後第一作」。大賞作は『52ヘルツのクジラたち』。

読み始めて、ああまたもや不幸の集合体のような女性なのかと思った。が、グイグイ惹き付けられる。

直ぐにあの事件に繋がった。漸くテレビでは下火になったが、人一人を白昼堂々と衆人環視の下で殺した犯人そのものに向かう視点ではなく、犯人の母親が所属していた「宗教団体」なるものへの非難の嵐になった。

犯人は41歳。母親が1億円を越える献金をし、家庭が崩壊して