夏ばなし ~だから~

まだまだ暑い、夕方である。今夜も、ものすごい暑さが待ってると思うと、ため息まで、出てきてしまう。
そんな中、今年も同窓会は、中止らしい。この時期、仕方ないことだけども。
『だから、それでいいじゃない』
そんな口癖の、同級生がいたのを、思い出した。彼女の名は、冴子。浅黒い肌の、夏が似合う女の子だった。高校卒業まで、ずっとおんなじ町内に住んでいたのに、思い出すのは、夏の冴子だった。なぜだか、そのほかの季節の彼女を、思い出せないのだ。
どうして、思い出せないのか、わからない私だ。
でも、なんか、彼女の声が、聞こえるような。
『だから、それでいいじゃない』