連載:俳句帳

9月の俳句帳(113)令和四年9月29日

1)清流の行く先一軒鄙(ひな)の秋

2)秋の蚊に燐寸(マッチ)で線香庭戸口

3)客人を迎へる座敷茶立て虫

4)落ちる葉の舞ふが如き飛ぶ秋蝶

5)空澄みて欄干の群れ朱く翔ぶ

6)蒼輝る鱗翅の一頭庭の秋

7)さらさらと色無き風の竹林

8)藍白の空へ満月二階窓

9)水泡を立ててかわせみ秋の川

10)周回の玻璃(はり)の眼飛行川の秋

11)晩酌に合わせ庭より窓守宮(やもり)

12)寺庭の甕(かめ)に小波涼新た

13)枝折り戸を叩く一陣風の秋

14)新蕎麦を当てに酌み合ふ吟醸酒

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