岩井三四二 の  「切腹屋」

★3.4 「むつかしきこと承り候」など公事ものには定評ある作者、今回は地方が舞台の公事。藩の堺を接する2つの村の市にまつわる揉め事。

藩をまたがる訴訟事は江戸の評定所に持ち込まれる。既にある市の3里以内に新たに市を開いたことで、法に触れると取りやめを訴えられた信濃山手村、不利な公事に勝とうと頼ったのが公事師の辰次。辰次には親の残した借金を毎月2両ずつ返済しなければならず、この公事を受けたが相手も強気で「負ければ切腹」の条件をつけた。相手の公事師の動きも気になるが、依頼元に裏切り者も。。地方の話や市の話は興味深い。

前作の「むつかしきこと承り候