『足音ふたり』

今朝は、あの公園とは、違う公園に来ている。ふたりで座れるベンチが、一つだけの小さな公園だ。
日曜日だというのに、先客がいた。それも、あの小さなベンチにだ。おまけに、ふたりも。

『もう、帰るの?』
『ちょっと、用事があってね』
『まだ、来たばかりじゃない』
『ごめん、また、今度』
『今度って、いつよ』
『う~ん、じゃあ、明日』
『う~んって、何よ』

女の子は、男の子に、背を向けて、ふたりは、多分こんなことを言ってるんじゃないかなあ。私は、ふたりに気づかれないように、足音も、そっと、公園を後にした。

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