連載:読書

「湊かなえの『落日』」

炬燵に寝っ転がり本を広げる。炬燵の下に敷く厚手のカバーも買ったばかりで滑りがいい。


書かれている世界はなかなか現実では出会えないような人間の内側、それも出来れば見たくない裏側だ。

意地の悪い残酷なものは苦手だが、この本は湊かなえだ。帯には『令和最高の衝撃&感動のミステリー長編』とも。ミステリーなのに感動?冒頭に「あれが虐待だったとは、今でも思っていない」とあり、引きずり込まれた。

主人公は映画監督と脚本家の二人。表現したいものがあり、それを人に伝える力がある二人の女性。

決して簡単にはそれが出来ない事を二人とも分かっていて、し