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上海時代(2)

上海に渡ったのは1才の時だから記憶はない。
物心ついたのは恐らく4才くらいになってからだと思う。
まだ上海事変が終わったばかりで治安はよくなかった筈だ。

わが家は3階建てのコンクリート屋だった。父はタクシー会社(旭商会)を営んでいて、1階は運転手なんかの居場所で2階がわが家の住だった。3階は物置などで滅多には行かない。

タクシーの運転手は全員中国人。管理人は朝鮮人(当時は日本人になっていた)が一人。「俺は日本人」だと運転手達に威張っていた。

そして中国人のお手伝いが二人。僕はオッカーと呼んでいて可愛がられていた。
ちなみにオッカー