連載:都々逸

振られてばかり

「惚れた数から、振られた数を、引けば女房が、残るだけ」という都々逸がある。この男、不幸なようで実に幸せ者だ。惚れた女と夫婦になれたわけだし、結婚後は浮気もせず、いい家庭を築いたであろう。

私は女房からも見捨てられてしまい、独居老人という肩書きだけが残された。
人生振り返ると、振られた数と振った数、どちらが多かっただろうか。考えるまでもなく、私は振られてばかりだった。

都々逸では振られた女のほうが絵になるが、実際は男と女、振られた経験はどちらが多いのかしら?

「フル」には「古」「振る」「降る」という漢字がある。言霊では「フ」は「増える、