砂原浩太朗 の 藩邸差配役日日控(にちにちひかえ)

★3.5 神宮寺藩7万石の江戸上屋敷でおきるドタバタを、差配役の頭、里村五郎兵衛を通して描く。若君の消失事件や藩邸の奉公人の痴話裁定、はたまた奥方の愛猫疾走事件などが起きる。差配役とはなんでも屋なのである。

また、里村家の内情も描写される。夫が責任をとって自裁し離縁となった長女の七緒、小太刀の稽古に熱を上げる澪、よく顔を出す亡き妻の妹、咲乃など。十数名いる差配方の下役の描写も面白い。心配性の副役(そえやく)、野田弥左衛門、新人の安西主税、才気あふれる迫水新蔵なども。江戸家老、大久保重右衛門の切れ者の側近、波岡喜四郎、目付役の彦坂繁蔵なども個性のあ