連載:知ることの地平

サルとシェークスピア

無限の猿定理というものがある。
意味は至ってかんたんで、サルが限りなくデタラメにタイプライターを打っていると、いつか偶然に、シェークスピアの作品ができあがっていることもある、という定理。一見納得してしまいそうなお話である。

しかし本当の意味は、偶然性と無限回の試行を考えるときの人間の知性の限界というものを示している、と考えている。
デタラメにタイプライターをサルが打って、偶然作品が仕上がっていたという確率は、極めて小さく、ほとんどゼロに近い数値であるだろう。しかし限りなくサルがタイプ打ちを繰り返せば、いつかそれは実現するのではなかろうかと思えて