高橋克彦 の 噴怨鬼(ふんえんき)

★3.3 シリーズ6作目。前作より1年経過の仁和4年(888年)の暮、陰陽寮の頭である弓削惟雄(ゆげのこれお)の屋敷で始まる。

屋敷には食客である播磨の術師・蘆屋道隆〈あしやみちたか)、配下の若き紀温史(きのあつし)、郎党の甲子丸(きねまる)、東北から連れ帰った蝦夷の子・淡麻呂(あわまろ)、師の滋丘川人(しげおかのかわひと)の墓から掘り出した髑髏鬼(どくろき)がいる。陸奥からの帰りに伴った土蜘蛛の頭だった娘・芙蓉は東市で大きな飲み屋を開いている。

そこへ検非違使庁の別当である小野春風(おののはるかぜ)が訪ねてきた。かつて惟雄がいた陸奥鎮守府