長谷川卓の「運を引き寄せた男 小説・徳川吉宗」

★3.3 初期初期(1994年)の作品の新装版。
10歳の新之助(後の吉宗)が根来の里で出会ったのが名草の多十とその配下の忍びの者。彼らが吉宗を将軍とすべくの謀略を勤めることになる。多十らとは別に、根来には涌井衆という幽斎を頭とする一派がおり、将来に渡って吉宗と敵対する。紀州藩には「薬込役」16人を藩の隠密調査を行う者がいたが、吉宗はそのまま公儀として「広敷伊賀者」として隠密業務として使う。

作者はこの頃から、多十や涌井衆の名が気に入っていたとみえ、後に「嶽神」で「涌井谷の山の者である蛇塚の多十」として使っている。亮子夫人によるあとがきでは、多十