連載:介護

「聞こえないフリ」

「よし!今日はこれで鉄子のデイサービス終わり!」
同僚が「あはは」と笑う中、私は立ち上がった。

私はC子さんの隣に座り、一枚の塗り絵を完成させた。C子さんに言った、
「この鳩とモミジの背景、塗ってもらえませんか?」

C子さんは直ぐに色鉛筆で塗り出した。

「空からね、声が聞こえるのよ、ここはこうやってって〜」
「私には聞こえないけど、C子さんには聞こえるんですね、いいなあ」

C子さんの「訳の分からない」話を否定するでもなく、バカにもせず、そのまんま受け入れる。が、嘘まではつかない。

周りはその会話が聞こえているはずだが、