連載:シニア

「新しい言葉」

「あら、おはよう」
「おはようございます」
玄関先を掃いているご近所さんと挨拶。

「これから保育園?」
「○✕△行く」
弟クンはいつも保育園の名前を言う。それが保育園だと分かっている。

歩き出してから私に言う。

「すれ違う」
3歳の弟クンが一つ一つ言葉を獲得していく様は、いつも新鮮だ。

何かが弟クンの胸に届き、その言葉を繰り返し遣う。的確に。

「○○ちゃん、「すれ違う」、覚えたね。凄いね」
何も関わりのない人間とすれ違っても使わない。すれ違うのは何か繋がりのある者同士なのだ。

ちょっと前までは「また」だった