坂井希久子 の「つばき餡 花暦 居酒屋ぜんや」

★3.3 新シリーズ5作目。今回の大きな事件は、只次郎の姪・お栄が15歳で大奥をお暇になったこと。将軍の伽を断ったことで、病として暇を出されたことにされたのである。仲御徒町の実家の父親(只次郎の兄)・林重正はすぐにも嫁に出そうとする。逃げ出したお栄はぜんやに転がり込んで、隣の春告堂の2階でお花と寝泊まりするようになった。只次郎に似た町人気質のお栄の活躍も期待できる。

升川屋の離れに引き取られていた病気の近江屋が没した。俵屋の若旦那と海苔屋宝庄の幼女・お梅の縁談は少しずつだが前進の気配。俵屋の旦那も隠居の気配で、熊吉にも大きな仕事が回って来そう。