連載:シニア

「幼子といると」

「空の青が濃いですね。雲一つない」
「いや、あそこに出てますよ、地震雲」
そう言って男性は東の空を指差した。家々の屋根付近に低く雲が棚引いている。

今までの男性の雰囲気からは意外な気がしたが、それだけ能登の大地震が気掛かりなのだろう。深追いしなかった。

「○○ちゃん、保育園まで走ろう」
「うん」

「行ってきます」
「いってらっしゃい」


今年始めての土曜日。ママが早出の日だ。たっぷりママやパパと過ごしたお正月休み明け。今日は要注意だ。

まだ5時半。弟クンまで起きた気配がした。下に行くとお兄ちゃんとママ、弟クンがいた