本文 旅懐(旅の想い)芭蕉
この句は、その朝より心に籠りて、念じ申されしに、下の五文字にて寸々の腸をさかれけるにや。これはやむごとなき世に、「何をして身のいたづらに老いぬらん年のおもはんことぞやさしき」(古今集 読人知らず)を切に思はれけるか。されば、この秋は如何なることの心に叶はざるにかあらん・・・
今年の秋は、なぜこんなに老いの寂しさが身にしみるのか
はるかな雲の中に消えて行く鳥が見えるが、まるで漂泊の生涯を送ってきたわが身のように感じられる
五十一歳の芭蕉は、体の不調を押して、菊の節句の日に
大阪の