小澤征爾の指揮で聴くマーラー 交響曲第1番「巨人」

バーンスタインの濃厚な演奏や、テンシュテットの内に秘めた激しさが顔をのぞかせる演奏とも趣が異なる。クーベリック、あるいはワルターの解釈に近いかもしれない。
第1楽章では概して抑制の効いた穏やかで品性のある演奏との印象を抱く。終盤にさしかかると小澤の若々しく切れのあるリズムを生かした演奏になる。
第2楽章は「花の章」。この楽章だけ1984年に収録され、本CDに挿入されている。「花の章」はアンダンテの表示があり、優美さを帯びた音楽だ。特に、トランペット、オーボエなどのソロが美しい。
第3楽章。素朴さと力強さのある舞曲風の音楽だ。小澤の演奏は素朴さに比重を置い