「マーラー」の日記一覧

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マーラー の交響曲第9番をクレンペラーの指揮で聴く

愛聴盤のバーンスタインを含め、これまで幾つかの演奏を聴いてきたが、およそクレンペラーの演奏ほど深々としたものはないだろう。 第1楽章を聴き始めれば、内に秘めたクレンペラーのマーラーへの思いの一端が感じ取ることができる。虚飾や誇張を排した、そして甘美さのなさはクーベリック指揮の演奏に通じるものがある。厳しさと骨太のイメージはクレンペラーならではだ。ラストは「大地の歌」を想起させるものがある。 第2…

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クレンペラーの指揮で聴くマーラー の交響曲「大地の歌」

2023年1月以来の鑑賞。 バーンスタインのLP、ワルターのモノラル録音のCD、そしてこのクレンペラー盤が今でも印象に残る。 バーンスタイン盤は熱気にあふれ、ワルター盤はどこかに暖かみがあり、クレンペラー盤には厳しさがあるが、オーケストラも、歌手も指揮者も異なれば、聴いて抱く印象も違うのは当然だといえる。 この演奏におけるヴンダーリッヒは、声に張りがあり、伸びやかで鞭のようにしなるような、時には…

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マーラー の交響曲第7番 他をクレンペラーの指揮で聴く

2017年11月以来の鑑賞。 クレンペラー特有の悠揚迫らざテンポでだが、たるんだ感じがしない。冒頭のホルンの響きは力強く迫力がある。オーケストラの響きも分厚く、スケールの大きさを感じる。タンバリンの印象的な音もある。トランペットのファンファーレのような楽句に導かれるように音楽は清澄な世界を築き上げる。ヴァイオリンのソロ的な扱いや、ハープも後に加わる。再び冒頭の主題が現れ、堅牢ともいえる構えの音楽…

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マーラー の交響曲第4番をクレンペラーの指揮で聴く

2012年5月以来の鑑賞。 この曲との最初の出会いはアバド/ウィーン・フィルによるLPであった。その後、バーンスタインをはじめ他の指揮者でもそれなりの数の演奏を聴いてきた。マーラーの交響曲の中では比較的演奏時間も短く、親しみやすいと言われるが、自身には聴いてみようという意欲を強く喚起する曲ではない。そうした中にあってクレンペラーの演奏は手に取ってみたいと思う三本の指に入るものだ。三指とはバーンス…

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クレンペラーの指揮で聴くマーラー の交響曲第2番「復活」

2018年12月以来の鑑賞。 バーンスタイン盤とともに愛聴盤だ。 第1楽章は長大だ。何度となく冒頭の主題が現れる。深い森の中を進んでいるようでもあり、死を予感させるようでもある。あるいは回想のようでも。激しさと優しさ、ロマン的な気分と拒絶的な気分が相克する。いずれにしてもクレンペラーの演奏には本物の香りがする第1楽章だ。 第2楽章のアンダンテはマーラーらしい美しさに満ちた主題で始まる。クレンペラ…

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マーラー の交響曲第9番をバーンスタイン指揮で聴く

2023年1月以来の鑑賞。 バーンスタイン指揮による同曲は、ニューヨーク・フィル(1965年録音)、アムステルダム・コンセルトヘボウ(1985年)、イスラエル・フィル(1985年)、そして、ウィーン・フィル(1971年)のDVDを視聴している。このCDで聴く演奏は、一言でいえば非常にスリリングなものだ。 第1楽章はある種の刺激性と緊張感の強い演奏だ。一期一会ともいうべきベルリン・フィルとの真剣勝…

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小澤征爾の指揮で聴くマーラー 交響曲第1番「巨人」

バーンスタインの濃厚な演奏や、テンシュテットの内に秘めた激しさが顔をのぞかせる演奏とも趣が異なる。クーベリック、あるいはワルターの解釈に近いかもしれない。 第1楽章では概して抑制の効いた穏やかで品性のある演奏との印象を抱く。終盤にさしかかると小澤の若々しく切れのあるリズムを生かした演奏になる。 第2楽章は「花の章」。この楽章だけ1984年に収録され、本CDに挿入されている。「花の章」はアンダンテ…

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バーンスタインの指揮で聴くマーラー 交響曲第9番

2014年8月以来の鑑賞。 バーンスタインの最後のマーラーの交響曲全集のスタートとなった録音だ。 このオーケストラとの録音は第1番「巨人」、第4番がある。歴史と伝統をもつオーケストラであるため、バーンスタインが振るとどのような演奏になるのだろうかとかすかな興奮を覚えた記憶がある。 何と彫りの深い弦、そして、柔軟な木管と金管の響きだろうと第1楽章を聴いてすぐに感じる。アンサンブルの密度も高く充実し…

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マーラーの 交響曲第8番「千人の交響曲」・交響曲第10番から「アダージョ」をバーンスタイン指揮で聴く

2020年8月以来の鑑賞。2枚組のCD。 1枚目は交響曲第10番から「アダージョ」で始まる。1960年代に録音されたニューヨーク・フィルとの全集にも収められているし、LPでも聴いている。今回聴いた音源はDVDに収められたものと同じであろう。この演奏もやはり、バーンスタインの冷静さを保ちつつも濃密な演奏に接することができる。ある意味ではバーンスタインのマーラー演奏における特色が集約されているといっ…

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マーラー の交響曲第7番をバーンスタイン指揮で聴く

2020年7月以来の鑑賞。 この曲はバーンスタインの指揮したウイーン・フィルのDVDで何度か視聴していた。テノール・ホルンの独特の響き、タンバリンのトレモロなど普段あまり聴かない楽器もいくつか現れる。また、ヴァイオリンのソロ的な扱いなどにもマーラーらしさがある。途中ではハープも聴くことができる。 第1楽章のテーマは後に、形を変えて何度となく現れるが、響き全体も変化と起伏に富み、バーンスタインの主…

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マーラー の交響曲第6番「悲劇的」・ 亡き子をしのぶ歌をバーンスタイン指揮で聴く

2017年11月以来の鑑賞。 オーケストラの響きが生々しい。スネアドラム、グロッケンなどの打楽器はもちろん、トランペット、ホルン、そして、うねるような弦楽器群。ある種の凄味すら帯びている。激しさと力強さの中に、しなやかさもあり、さすがにバーンスタインだと納得してしまう第1楽章だ。途中ではヴァイオリンのソロ、カウベルの素朴な音色も現れ、それらもまた印象深い。音楽が前進する。 第2楽章はスケルツォと…

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マーラー の交響曲第5番をバーンスタイン指揮で聴く

1963年のニューヨーク・フィルとの録音、1972年のウィーン・フィルとの録画を視聴している。録音を重ねるごとにテンポは遅くなりそれに伴って演奏の深さと内容は充実度を増している。前述の演奏も見事なものであることは言うまでもないが、ここに聴くウィーン・フィルとの演奏はそれらを凌駕するものがある。 第1楽章は葬送行進曲。荘重ながら、正確で厳粛な歩みを見せる。トランペットが奏でるファンファーレは第4番…

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バーンスタイン指揮で聴くマーラー の交響曲第4番

2017年7月以来の鑑賞。 第1楽章の冒頭からしてオーケストラの響きは透明感に満ちている。ブックレットにある楽器編成を読むと、チューバとトロンボーンがないことに気づく。また、第5番に現れるトランペットのテーマなども聞こえてくる。アバドやクレンペラー、テンシュテットの演奏とは趣を異にするが、バーンスタインの演奏らしく、内面に熱くたぎるものをコントロールしているかのようだ。 第2楽章はある種の不気味…

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マーラー の交響曲第3番をバーンスタインの指揮で聴く

2021年1月以来の鑑賞。 1961年のニューヨーク・フィル、1972年のウィーン・フィル(DVD)に比べて、バスドラムの響きなどにある種の凄みを覚える。同時にこの曲が内包する明るさも。録音の良さもあるだろうが、バーンスタインとオーケストラの相性の良さもあるだろう。 第1楽章は何度か現れるヴァイオリンのソロも印象深い。楽章の終わりは明るさと温かさに包まれている。 第2楽章はメヌエットのテン…

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バーンスタイン指揮で聴くマーラー の交響曲第2番「復活」

2016年12月以来の鑑賞。 1960年代のニューヨーク・フィル、70年代のDVD(LD)によるロンドン交響楽団、そして再びのニューヨーク・フィルとの録音。いずれもが名演だがこのCDは一歩抜きんでている。 第1楽章の冒頭の地を這うような低弦の響き、微妙にゆれるテンポ、感情を抑えに抑えた後の一気に燃焼するかのような迫力はある種の凄みすら感じさせる。また、一瞬取り戻す明るさとのコントラストも見事…

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マーラーの 交響曲第1番「巨人」・ 「さすらう若人の歌」をバーンスタイン指揮で聴く

ジャケットを見ると2000年にプリントされたことが分かる。第5番も同梱された廉価盤。バーンスタインの「巨人」はニューヨーク・フィルとのLP、同じ音源のCD、ウィーン・フィルとのDVDを聴いている。 実に久しぶりに手に取った。長い序奏からしてバーンスタインならではの緊張感がある。主部に入ると豊かな歌にあふれ、清浄な大気に満ちた深い森がイメージされる。楽章終わり近くの高揚も見事だが、さすがにアムス…

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マーラー の交響曲「大地の歌」をジュリーニの指揮で聴く

2016年5月以来の鑑賞。 アライサは、モーツァルトの歌劇「魔笛」、「後宮からの誘拐」、R・シュトラウスの歌劇「ばらの騎士」における歌手役等でその名演唱に接してきた。 ファスベンダーも、歌劇「ヘンゼルとグレーテル」、R・シュトラウスの歌劇「ばらの騎士」におけるオクタビアンの演唱は強く印象に残っている。 この演奏はライブ収録だ。アライサの歌う第1曲目は正にマーラーの激情のうねりのようだ。その…