『自分との和解』

母は数年前、がんで亡くなった。

母の病状は安定していて痛みも訴えず、看護師さん
をはじめ多くの人の献身的ケアのおかげで安らかな
毎日だった。

最期まで意識もしっかりしており、母は死を受け入
れていたと思う。

病室に寝泊まりして付き添っていた私は、このまま
旅立ってくれればと願った。

しかし最後の最後になって激痛を訴え、結局モルヒネ
を注射した後亡くなった。

私には、母は最期は苦しむかもしれないという予感
があった。

母は離婚した後、ずいぶん苦労したが、心の奥に
深い苦しみも抱えていた。

養女だった母は、実母に捨てられたのではという
思いがあ