「水滸伝」の日記一覧

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岳飛の処断

北方謙三の「岳飛伝 第6巻 転遠の章」を読了した。岳飛伝は、水滸伝、楊令伝に続く、北方大水滸シリーズの第三部である。  西遼の帝耶律大石は年老いて死を目前にしているが、フスオルドで皇后の顧大嫂と共に国の基礎を築きつつある。  岳飛は水軍の韓世忠に会い、秦檜の考えを聞かされる。金国の物流に違和感を覚えた岳飛は、単身光山を訪れ、市場を宰領する簫?材と出会う。簫?材はかつて岳飛が倒した簫珪材の息子で、…

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智多星死す

北方謙三の「岳飛伝 第5巻 紅星の章」を読了した。岳飛伝は、水滸伝、楊令伝に続く、北方大水滸シリーズの第三部である。  岳飛が率いる南宋軍と兀朮が率いる金軍とが対峙する中、梁山泊の軍師宣凱が岳飛に会いに行く。宣凱は岳飛に、中華のあるべき姿を問い質すが、岳飛は明確には答えない。二人は、再会を約して別れる。  金国の宰相ダランの許を南宋の宰相秦檜の代理として許礼が訪れる。二人は、講和を前提とした腹の…

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梁山泊の束の間の平和

北方謙三の「岳飛伝 第4巻 日暈の章」を読了した。岳飛伝は、水滸伝、楊令伝に続く、北方大水滸伝シリーズの第三部である。  金は政治の中心を会寧府から燕京へ移し、南宋と全面対決に入る。戦時体制のため麦の不足する金で、不正が横行するが、蕭?材の働きにより、麦が放出される。  岳飛が遂に淮水を渡渉する。岳飛と兀朮が直接激突する。胡土児が援護に駆けつけるが、逆に孟遷に弾き返され、剣と兵を失う。岳飛と兀朮…

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梁山泊と金の講和

北方謙三の「岳飛伝 第3巻 嘶鳴の章」を読了した。本書は、北方大水滸伝シリーズの第三部である。  前巻で戦端を開いた梁山泊軍と金軍との戦いは、熾烈を極める。夜襲に失敗した兀朮が率いる金軍二十万は、「海東青鶻」の旗の下に、八万の梁山泊軍を押しまくる。しかし、受けて立つ山士奇の歩兵隊は一歩も退かない。呼延凌と秦容の騎馬隊は変幻自在の戦いを見せる。その中で旧楊令軍(黒騎兵)を率いる蘇?は、執拗に兀朮の…

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水滸後伝⑤

第三十一回「馬国主 春に遊んで 羽客に逢い 共丞相 道を訪うて番僧に遇う」:話は少し戻る。暹羅の馬国王は三月三日に墓参に出掛けて不思議な道士に出会い、出家を勧められるが断る。怪異の出現等で不安を覚える国王を見て、宰相の共涛は王位の簒奪と玉芝公主を手に入れることを夢想する。その後共涛は、妖術師の薩頭陀と知り合い、国王、李俊、花逢春を呪い殺すことを依頼する。  第三十二回「生辰を慶ぎて竜舟の競渡を観…

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水滸後伝④

第二十一回「撲天? 万慶寺を火もて焼き 小旋風 滄州の牢に冤に困しむ」:曇化和尚は魯智深張りの膂力なので、李応達は留守の万慶寺を襲い、引き返してきた曇化を捕えて誅殺する。そこへ戴宗が、柴進が滄州知事の高源(高廉の弟)に捕えられたことを知らせてくる。飲馬川勢は滄州に攻め寄せるが、守りは堅い。しかし、滄州の牢内で、唐牛児達がこっそりと柴進を助け出していた。  第二十二回「滄州を破って豪傑重ねて逢い …

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水滸後伝③

第十一回「長風に駕して群雄 覇業を開き 鯨魚を射て一箭 家伝を顕す」:李俊達は、枢密府の外航用の官船を奪い、海上に乗り出す。張順の元部下の許義を水先案内として南方に向かう途中、鯨に遭遇するが、花逢春がこれを弓で仕留める。やがて一行は暹羅国の一部である清水澳に到着し、そこを根拠に沙竜が暴政を布く隣島の金ゴウ島を攻略する。  第十二回「金ゴウ島 兵を興して遠略を図り 暹羅城 危み困しみて和親を乞う」…

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水滸後伝②

第一回「阮統制 梁山泊に感旧し 張別駕 石碣邨に激変す」:阮小七は統制に任じられたが、讒言により職を解かれ、故郷の石碣村に帰る。ある日、旧山塞を訪れ、酒を飲みながら宋江達を偲んでいた阮小七は、通りかかった張通判(かつて勅酒を携え帰順の勧告に来たことがある)を叩きのめす。捕縛に来た張通判を殺害した阮小七は、母親を連れて逃亡するが、食事の準備に火種を探している間に、母親の姿が見えなくなってしまう。 …

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水滸後伝①

陳忱作、寺尾善雄訳の「水滸後伝(平凡社東洋文庫版全三巻)」を再読した。本書を再読した切っ掛けは、北方謙三の「岳飛伝第二巻飛流の章」を読んだことである。同書では、北方大水滸伝シリーズの立役者の一人である王進が亡くなったこと、張朔が交易先開拓のためにメコン川流域に到達したこと等が描かれている。王進は、水滸伝本編では登場場面が少ないが、水滸後伝では北宋軍の将軍として登場し、金軍に敗れた後は主役の李俊と…

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稀代の武人の死

北方謙三の「岳飛伝 第2巻 飛流の章」を読了した。本書は、北方水滸伝シリーズの第三部である。梁山泊軍は、頭領となった呉用の下、将来構想について激論を戦わせるが、たちまちには結論は出ない。南宋は、宰相秦檜の下、国力の増強に務めるが、岳飛は軍閥として金軍と梁山泊軍の動向を見つめる。金は兀朮の下で江南への版図拡大を図る。いよいよ戦雲が動く。  物流を担当していた宣凱は、呉用に本塞に呼び戻され、決裁業務…

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水滸の子供達

北方謙三の「岳飛伝 第1巻 三霊の章」を読了した。本書は、「水滸伝」、「楊令伝」に続く北方大水滸伝構想の第三部である。前作「楊令伝」で、梁山泊は頭領の楊令を失った上に、黄河の大氾濫により壊滅的な打撃を受けている。一方。岳飛は、楊令の吹毛剣により右腕を失いながらも、南宋の一軍閥として金国との戦いに備えつつあった。梁山泊、南宋および金国の三つ巴の戦いがいよいよ開始される。  呉用は黄河の氾濫原の治水…