読売俳壇 3月16日 淵鎮 護 選 凍裂の木の間に透けし神の山 島 内村 としお 【評】季語は「凍裂」で冬。「凍裂」は難しい季語で「急激な寒気のため、幹に縦に割れ目ができること。 凍裂した木々の間から、神の山(高千穂)が透けて見えたという厳粛な句。俳句には一カ所切れがあるという厳粛な原則に従えば、「木の間や」という軽い切れを入れることが可能。 寒の朝襟を正して霧島路 霧…
俳句 淵脇 護 選 裸木や人にそれぞれ裏表 霧島 久永のり尾 (評)2月3日は立春だったが、実際は厳寒の真っ只中。裸木は冬になって葉を落としつくして枝々があらわになった木を言う。一糸まとわぬ裸木に、内面に隠し持つ人間の素性を見て取った一句。これこそ二句一章の俳句の真骨頂! 熱燗や目尻下げたる母の声 霧島 秋野 三歩 足湯して眺むる海や冬霞 霧島 池田 章 筆…