「SF」の日記一覧

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Netflix 映画 サークル(SFシチュエーションスリラー)

目覚めたら、見知らぬ50人の男女が共に、閉鎖空間にて、 サークル(円)状の盤の上に、円周に背を向け円の中心を向いて立たされていた。 どうやら皆、同じ状況で何者かに拉致されて、この場所へ連れて来られたらしい。 やがて彼らは、2分置きに誰かが殺害される事と、 その犠牲となる誰かを、自分たちが投票で選ぶルールになっている事に気付き、 この不可解な状況から生き残って脱出する方法と、 確実に2分という短…

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面壁者達の深謀

 劉慈欣の「三体 2-黒暗森林-(上、下)」を読了した。著者は中国在住のSF作家であり、2015年に本書の前作の「三体」で、翻訳書として、またアジア人作家として初めて、世界のSF界で最高のヒューゴー賞を受賞している。本書は「地球往事」三部作の第二部(「三体」三部作ともいう)であり三体人の侵攻に対抗しようとする地球人の苦闘を描いた長編SF小説である。  本編の前提として、地球は三体世界が送ってきた…

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古代米のDNA

 藤井太洋の「Gene Mapper-full build-」を読了した。著者は現在売り出し中のSF作家で、電子書籍により本書をセルフ・パブリッシングで作家デビューしている。本書は著者のデビュー作の増補改訂版で、遺伝子設計技術と拡張現実の未来を描いた、サスペンス風近未来SF小説である。  本書の舞台は2037年の近未来である。この世界では、インターネットは、内包していた欠陥から2014年に暴走し…

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SFアニメ 時空の旅人の感想

未来から来た少年が、人の意見に惑わされて、重要な局面でコロコロと態度を変えるから、諸悪の根源はこの少年の主体性の無さのように思えた。 信長が天下を取ったら、後の世で、核戦争が起こらなかったって、どうしてそんな事が断言出来るのか理解に苦しむ。 そもそも核爆弾は、原子力の発見・利用という、人類が歩んだ科学の進歩に不随して来た負の遺産のようなもの。 信長が天下を取ったところで、人類が文明の進歩の歩…

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核爆発をもう一度

 藤井太洋の「ワン・モア・ヌーク」を読了した。著者は現在売り出し中のSF作家で、電子書籍によるセルフ・パブリッシングで作家デビューしている。本書は、2020年、東京オリンピックを目前にした東京で起こった原爆テロを描いた、サスペンス風極近未来SF小説である。  本書は一応、但馬樹が主人公と考えられるが、以下の4人(チーム)の他視点で描かれる。  但馬、シェレベット:但馬樹は福島県出身で、三次元プリ…

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保安官は何でも知っている

 宮部みゆきの「さよならの儀式-8 Science Fiction Stories-」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー、時代小説、ファンタジー等、レパートリーの広い作家である。本書は、著者の久し振りのSF風味の作品を集めた短編集である。  「母の法律」:虐待を受けた子供と虐待したその親の両方を救済するための、「マザー法」が施行されている世界の話。その世界では国が、児童虐待が起こった親子…

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三重星系アルファ・ケンタウリからの通信

 劉慈欣の「三体」を読了した。著者は中国在住のSF作家であり、2015年に本書で、翻訳書として、またアジア人作家として初めて、世界のSF界で最高のヒューゴー賞を受賞している。本書は「地球往事」三部作の第一部(「三体」三部作ともいう、第二部および第三部は日本では未翻訳)であり、文化大革命で理論物理学者の父親を失った女性天体物理学者が巻き込まれた、地球外生命体との邂逅とその地球侵攻の危機を描いた長編…

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神様はプログラマ

 宮内悠介の「偶然の聖地」を読了した。著者はSF畑出身の作家であるが、ミステリーも手掛けている。本書は、地図に載っていない幻の山イシュクトの謎を巡るファンタジーとSFの中間的な作品である。  本書の主人公で19歳の怜威の祖父の朗良は、アメリカの西海岸でやっていた菓子店を息子の勇一に継がせ、旅に出た後行方不明になっていた。勇一とその妻のイヴリンの子供が怜威である。ある時弁護士がやって来て、朗良がカ…

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解雇不可の呪縛

 藤井太洋の「東京の子」を読了した。著者は現在売り出し中のSF作家で、電子書籍によるセルフ・パブリッシングで作家デビューしている。本書は、2023年、アジア系の労働者が大量に流入したオリンピック後の東京を舞台とし、元パルクール・パフォーマーの舟津怜(仮部諌牟)と多国籍の若者達の関わり合いを描いた、極近未来SF小説である。  主人公の船津怜は親に捨てられ、養護施設で育つが、かつてはナッツ・ゼロとい…

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総統になるはずだった男

 ラヴィ・ティドハーの「黒き微睡みの囚人」を読了した。著者はファンタジー、SF作家で、イスラエルのキブツで生まれ、15歳から南アフリカ共和国、ラオス、バヌアツ等、世界中を旅した後、現在はロンドンに在住している。本書は、「大転落」で失脚し、ロンドンで私立探偵をしている元ナチス指導者を主人公とした、ミステリー風味の歴史改変SFである。  本書は一種のパラレルワールドSFであるが、各章の最後に登場する…

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少しふしぎ

 藤子・F・不二雄原作、辻村深月著の「小説 映画ドラえもん のび太の月面探査記」を読了した。著者は直木賞作家であるが、子供の時からの、コミック「ドラえもん」の熱烈なファンであることで知られている。本書は、著者が脚本を担当した「映画ドラえもん「のび太の月面探査記」」を著者自らノベライズしたものである。  故障した月面探査機が捉えた白い影が、TVで大ニュースになる。その白い影が月に住むウサギだと主張…

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インターネットの自由の守護者

 藤井太洋の「ハロー・ワールド」を読了した。著者は現在売り出し中のSF作家で、電子書籍によるセルフ・パブリッシングで作家デビューしている。本書は、五篇からなる著者の第二短編集であり、極近接未来のITの世界が描かれている。  「エッジ」というIT企業に勤める本書の主人公の文椎泰洋は、著者を投影した様なITエンジニアであるが、突出したスキルはなく、プログラミングもそれ程上手だという訳ではない。英語…

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二つの世界の架け橋

 小林泰三の「パラレルワールド」を読了した。著者は、ホラーおよびSF出身の作家であるが、ミステリーも手掛けている。本書は、大地震と大洪水を切っ掛けに分裂した二つの世界の両方に存在することになった少年を描いた物語である。  主人公のヒロ君(坂崎裕彦)は五歳の少年で、両親と一緒に住んでいるのだが、父親には母親が見えず、母親には父親が見えない。そのため、両親が会話をするためには、ヒロ君が二人の間を行き…

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おバカさんによるおバカさんのためのSF

 宮内悠介の「超動く家にて-宮内悠介短編集-」を読了した。著者はSF畑出身の作家である。本書は、著者のデビュー当時から最近までの各種媒体に発表された、主としてSFの16篇の短編を収録した短編集であり、特にテーマはない。  「トランジスタ技術の圧縮」:広告ページのために分厚くなった雑誌「トランジスタ技術」の広告ページを抜き、雑誌を圧縮する競技の最期の競技会が描かれる。  「文学部のこと」:大学で「…