さんが書いた連載百人一首2の日記一覧

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[百人一首]99 その前に、後鳥羽院について

人も惜し 人も恨めし あぢきなく 世を思ふゆゑに 物思ふ身は 百人一首シリーズラスト2 名残惜しいので、ちょっとここで粘ってみることにしましょう。 この後話していきますが、百人一首には、目的のような結論のような歌がある この第99首です。 この歌の作者、後鳥羽院は、 何故そこまで藤原定家が思い入れするほどだったのか 日本の歴史においても 「武者の世」が始まった保元の乱から65年 混乱が…

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[百人一首]98 風そよぐ 定家のライバル

いよいよラスト3 風そよぐ ならの小川の 夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなりける そよそよと吹く、ならの小川の夕暮れは、秋のような風情だけど 行われているみそぎが、夏のしるしだよ ■■従二位家隆■■ 藤原家隆(ふじわらのかりゅう) いえたかでも良いんだけど、藤原定家(ふじわらのていか)のように、かりゅうと読む方が一般的 定家と同時期の人で、定家と並び称せられる歌人 定家のお父さん、俊成に…

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[百人一首]97 来ぬ人を。藤原定家、その2

http://sskmszm.com/?p=17245 [百人一首]97 来ぬ人を 藤原定家本人の歌 の続きです。 ■■百人一首■■ 武士で歌人の宇都宮 頼綱(うつのみやよりつな)に頼まれたことがきっかけでした。 頼綱は、定家の息子である藤原為家(ふじわらのためいえ)のお舅さんです。 京都嵯峨にある、うちの小倉荘の襖に穴が空いちゃって 紙貼ってごまかしたんだけど 目立っちゃってね いっその…

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[百人一首]97 来ぬ人を 藤原定家本人の歌

百人一首シリーズ ながらく続けてまいりましたが、残り4首です。 いよいよ、百人一首の選者、藤原定家自身の歌になります。 来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや藻塩の 身もこがれつつ 待てども来ないあの人を待つ私は、 松帆の浦の夕凪に焼く藻塩のように 毎日、身を焦がれるような思いでいることですよ ■■藤原定家■■ 「ふじわらのていか」でも「ふじわらのさだいえ」でも良いけど、ていかの方が…

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[百人一首]96 花さそふ。出たっ、西園寺公経

花さそふ 嵐の庭の 雪ならで ふりゆくものは わが身なりけり 桜の花を誘って散らす、嵐が吹く庭に降り行くものは 雪ではなくて、老けていくわが身なのだったよ。 ■■入道前太政大臣■■ 百人一首シリーズも残りわずか 残りは超大物揃いです。 出ましたっ 藤原公経(ふじわらのきんつね) きつねではなくきんつね またの名を西園寺(さいおんじ)公経 西園寺家は公経から始まります。 ずっと時代があとにな…

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[百人一首]95 おほけなく

百人一首シリーズも残り少なくなってまいりました。 ラストスパートは超大物揃いとなります おほけなく うき世の民に おほふかな  わが立つ杣(そま)に 墨染の袖 身のほどもわきまえぬ事ではありますが 仏のご加護を願って俗世の人々に覆いかけるよ 比叡山に住み始めた、この私の法衣を ■■前大僧正慈円■■ http://sskmszm.com/?p=10815 わたの原 漕ぎ出でて見れば ひさかた…

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[百人一首]94 み吉野の

み吉野の 山の秋風 さ夜更けて ふるさと寒く 衣うつなり み吉野の山に秋の風が吹き、夜も更けて 旧都の里は寒々として、 どうやら砧(きぬた)を打っている音が聞こえてくる ■■参議雅経(さんぎまさつね)■■ 本名、藤原雅経。別名、飛鳥井雅経 多才なんてもんじゃない、何でも出来る人 雅楽の篳篥(ひちりき)もできて、書も一流 文化系だけなら、多才な人は今までもいましたが この人は体育会系で超一流…

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[百人一首]93 世の中は。将軍実朝、その前に。

世の中は 常にもがもな 渚こぐ あまの小舟の 綱手かなしも 世の中は常に変わらないでいてほしいものだなあ 渚を漕いでいる舟を綱で引いている様子を見ると とても趣深く心引かれるものだ ■■鎌倉右大臣■■ 出ましたよ、超大物 鎌倉右大臣とは、源実朝(さねとも)の事です。 源頼朝(よりとも)と北条政子の次男であり、兄は第二代将軍の源頼家(よりいえ)、鎌倉幕府の第三代将軍です。 この歌、源実朝とい…

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[百人一首]92 わが袖は。沖の石でブクブクブク

わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の 人こそ知らね かわく間もなし 私の着物の袖は、引き潮の時にも見えない沖の石のように 誰にも知られないけれども、涙に濡れて乾く間もありません。 ■■二条院讃岐■■ 讃岐は源頼政の娘。 源頼政は、歴史的にかなり重要な意味を持つ人。 保元の乱、平治の乱ともに勝った側に所属 平清盛の信頼も厚かったが、 本人としては、それならば、もうちょっと位を上げてくれても良いん…

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[百人一首]91 きりぎりす。えっコオロギ?

きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む こおろぎが鳴いている寒い夜のむしろの上で 私は自分の衣を片敷いて 一人寂しく眠るのだろうか 百人一首シリーズも残り少なくなって参りました。 途中飛ばしたところもちゃんと埋めて 純粋にあと10首 カウントダウンでございます。 ■■キリギリス■■ 出ましたよ。出ました、キリギリス ギュリギュリヒュウィーッ http://sskm…

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[百人一首]45 あはれとも~ あらまたご冗談

あはれとも いふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな 私のことを哀れだと言ってくれそうな人は、誰も思い浮かばないまま、 きっと私はむなしく死んでいくんだろうなあ。 ■■謙徳公■■ 謙徳公は藤原伊尹(これただ)の諡(おくりな) 右大臣藤原師輔(もろすけ)の長男、師輔の5男が兼家でその子が道長なので 道長からするとおじさんということになる。 娘が冷泉天皇の女御となり、花山天皇の母と…

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[百人一首]38 忘らるる~、私は良いんです。お体だけは。

忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな 忘れられる私のことはいいのです。 でも神様に愛を誓ったあなたにばちが当たって 命を落としてしまわないかと心配です。 ■■右近■■ 例によって、女性はなかなか自分の名前では呼んでもらえません 右近は、お父さんが、藤原季縄(すえなわ)右近少将だったから、右近と呼ばれています。 醍醐天皇の皇后、穏子(おんし)に支えた ■■鑑賞■■ こ…

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[百人一首]25 名にしおはば、に可愛い返歌は?

名にしおはば 逢坂山の さねかづら 人にしられで くるよしもがな 逢坂山のさねかづらで、その名前のように あなたにたぐり寄せて会えるものなら良いのに なかなか人に知られずに逢う方法はないものだなあ ■■藤原定方■■ 百人一首では三条右大臣としてあります。 京都の三条に住んでいる右大臣なので三条右大臣と呼ばれていたようです。 藤原定方(さだかた)のことになります。 右大臣ですから超大物 ナンバ…

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[百人一首] 23 月見れば

月見れば ちぢにものこそ 悲しけれ わが身一つの 秋にはあらねど 月を見るとあれこれ色んな事が悲しく思われてくるなあ 別に私一人のために秋は来る訳じゃないんだけど ■■大江千里■■ 当時、まだ短歌というものがそのあとの時代ほど、物事の中心には座っていなかった。 文学の最高の位置にあったのは漢詩で、日本の短歌に取って変わられていく過渡期です。 大江千里は漢詩の専門家 でも、漢詩だけじゃなく、短…

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[百人一首]22 吹くからに

吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を 嵐といふらむ 吹いたそばから、草木がしおれるのを見ると なるほど、山風が嵐というのも納得できる事だよ ■■文屋康秀■■ 文屋康秀(ぶんやのやすひで)については分からないことが多い 身分が低く下級官吏のまま生涯を終えたので、あまり記録がない。 ただ、交遊関係は立派 小野小町、在原業平、素性法師 歌人としては何と言っても六歌仙のひとり 僧正遍昭、…

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[百人一首]21 今来むと

今来むと 言ひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち出でつるかな あなたが来ていただけるということだったので ずっと待っておりましたのに 9月の有明の月が出る明け方になってしまいましたわ ■■素性法師(そせいほうし)■■ 素性法師はあの僧正遍照(そうじょうへんじょう)の息子 http://sskmszm.com/?p=14640 12.天つ風 雲の通ひ路 吹き閉ぢよ をとめの姿 しばしとどめむ…

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[百人一首]20 わびぬれば

わびぬれば 今はた同じ 難波なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ こんなにつらいなら もう我慢してもしなくても同じです 難波のみおつくしさながら あなたに会いに行きます ■■元良(もとよし)親王■■ 陽成天皇の第一皇子 ただ、譲位の後に出来た子なので、世継ぎの芽は既にない そもそも、陽成天皇は藤原基経に無理矢理降ろされちゃった 自由に生きていきましょ と思ったんでしょうが その自由振りが極…

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[百人一首]19 難波潟 超美人、伊勢の人生は

難波潟 みじかき芦の ふしの間も 逢はでこの世を 過ぐしてよとや 難波潟の短いふしの間ほどの、短い間の時間すら、会えないとおっしゃるの? このままこの世を過ごしていけと ■■伊勢■■ 伊勢は宇多天皇の奥さん中宮(藤原)温子に仕えていた その美しさは群を抜き それゆえに波瀾万丈の人生を歩みます。 温子のお兄さん、藤原仲平と良い仲に お父さん、 困ったなあ 身分が違いすぎるよ 飛ぶ鳥を落…

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[百人一首]18 住の江の

住の江の 岸による波 よるさへや 夢の通ひ路 人めよくらむ 住の江の岸による波ではないけれど あなたは昼だけでなく、夜の夢の中ですら 人目を気にして会いに来てくれないのね ■■藤原敏行朝臣■■ 能書家として極めて有名 あの空海と並び称せられるというから、よほどです。 もちろん、歌人としても有名ではありますが 書家としても引っ張りだこです。 特に多いのが、お経を書き移す仕事 いわゆる写経…

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[百人一首]12 天つ風

天つ風 雲の通ひ路 吹き閉ぢよ をとめの姿 しばしとどめむ 空吹く風よ 雲間の帰り道を通せんぼしておくれ 素晴らしい舞を舞ってくれた乙女の姿をもう少し見ていたいから ■■おはこ■■ 出たっ 出た出たっ 天津乙女ですね。 これをおはこにしている人はかなり多いんじゃないでしょうか 紛らわしい札がないから、覚えやすいしお手付きもしにくい。 母さんが昔、この札が出る度に、 天津乙女って宝塚女優がい…