軍用機の本当の値段はいくら？

「軍用機価格の原価」で検索するとこんな一文がありました。　

＜タイトルに Costs by Weapon System とある通り、この2014年度予算案は機体のコストではなく兵器システムとしてのコストを計上した資料です。米空軍のF-35Aは19機で3,582.3Mドル（Mはミリオン、35億8230万ドル）と書かれていますが、総額を機体数で割った「1機1.9憶ドル（約189億円）」とは機体単価ではありません。兵器システム単価です。F-35以外の機体の数字を見比べてみても割高に見える数字が載っているのはその為です＞

一般的には30～50％というのが軍用機の利益率ようですが、日本と違い複数のメーカが競う米国では初期開発費用が競作応募の場合は数機分の試作機経費しか支払われない場合もあり「ぼろ儲け」と「倒産リスク」の背中合わせのような産業構造の様です。超大型輸送機のＣ５Ａギャラクシー（ロッキード社製）などは典型例で受注できたロ社は大儲けかと思いきや大量発注予定が議会の予算削減でロ社の経営を揺るがす事態になりその後の強度不足に伴う改修費問題等もあり、その後のマーチン社による名門ロッキード社の買収合併劇の遠因にもなりました。
　片やライバルのボーイングは７４７ジャンボの原型となった機体が候補機でしたがロ社のＣ５Ａに敗れ、膨大な開発費回収のため苦肉の策で民間機に転用開発した７４７ジャンボが大型機の超ロングベストセラーになるという皮肉な結果でした。

　実際の原価は「秘中の秘」だと思いますよ、韓国は性能の落ちる輸出版Ｆ35Ａを購入しますが単機価格は日本より高額です。どういう電子機器やリンクシステムを付けるのか予備エンジンや整備・メンテナンスをどういう形で契約するのかによりその単価は大きく変動します、ニュースに出てくる価格で高い安いは判断できません。

　今回のトランプの一声で７～15％デｲスカウントですからそれだけでもいかに利幅が大きいのかだけは判りますね、米国は空・海・海兵隊の三軍で合計4,000機近くを調達予定だそうですから、メーカーとしては値引いても十分割に合うんでしょう。
　日本は最初の4機を除く39機は三菱のライセンス生産ですから、アメリカの尻馬に乗る形でしか値引きは期待できませんね。
　アメリカの値引き交渉力はトランプの力というより4,000機調達のなせる技ではないでしょうか。

よって、日本が購入するF-35A戦闘機の機体単価と、この資料から出て来た兵器システム単価を直接並べて比較する事は出来ません。産経新聞の記事は条件が異なる「日本向けF-35機体単価102億円」と「米国向けF-35兵器システム単価189億円（補助機材含む）」を同列に並べて比較しているので、間違っています。