稲葉稔 の 天下普請

★3.5 江戸城の天守は家康、秀忠、家光の3代でそれぞれ建て替えられたとされる。物語は秀忠の元和天守を作事したとされる鈴木長次(ながつぐ)の生涯を描く。

遠州山名郡木原郷に住む一族は家康の軍役を担う大工仕事の被官で、合戦に参加し陣や進出した地の城を築いてきた。

17歳の長次は叔父の木原吉次に従い江戸へ出た、秀吉の没した1598年である。吉次は建築物担当の作事方の下奉行を務めている。長次は天主の作事という甘言につられ江戸に出たものの手掛ける物は屋敷類ばかり、天守は最後になるらしい。

その天守も家康は京の大工・中井正清に作事を任せた、木原衆は未熟と判断