朝井まかて の 草々不一(そうそうふいつ)

★3.5 草々不一(そうそうふいつ)とは 手紙の末尾に書いて簡略を詫びる語らしい。武家のしがらみや生き方を描いた8つの短編。

赤穂の大石家に拾われた野良犬・唐之介の視点で一家の気遣いを描く「妻の一分」。小藩の留守居役の視点で配下の無礼打ちを絡め職責の重要性を描く「落猿」。番方を隠居した老武士が妻の残した漢字の多い遺言書を読めるようになろうと手習所に通う「草々不一」。などの物語が好みかな。

いずれもほっこりしたり、切ない思いの最後を迎える物語である。作者独特の視点や武家の世界を一歩踏み込んだ内容が新鮮で面白い。

カテゴリ:アート・文化