「斜陽」(太宰治著)を読む

「斜陽」 太宰治著 新潮文庫
昭和25年11月20日発行
ー「そのお方の話では、直治はかなりひどい阿片中毒になっているらしい、と・・・」
 私は、世間を信用していないんです。札つきの不良だけが、私の味方なんです。札つきの不良。私はその十字架にだけは、かかって死んでもいいと思っています。 
 お前たちは、札のついていないもっと危険な不良じゃないか、と。
 私は確信したい。人間は恋と革命のために生まれて来たのだ。
 蛇のごとく慧く、鳩のごとく素直なれ。
 人はこの世の中に生まれて来た以上は、どうしても生き切らなければならないならば、
 生きている事。生きてい