連載:蕎麦の食べある記

小川町「しむら」 ―更級そば処―

東武東上線の小川町駅から、駅前通りを2分ほど歩くと、左側に「しむら」がある。
この店の存在を知ってから30年以上も経つが、食べる機会が来るまでに年月を要した。
初めて、この店の更級蕎麦を食べたのは、四半世紀以上も前になる。
店主と思しき、私と同年代の男性が調理場、その子供らしき女性が接客を受け持っているが、他にも何人かの人が働いている。
古い建物だが、掃除が行き届いた店の座席数は30席ほどで、昔ながらの蕎麦屋だ。

“せいろ”は、その名前の通り蒸籠に盛ってあり、焼き海苔がのっている。
それを“ざる”と呼ばない、潔さが好きだ。
白くて、細くて、長く