連載:俳句帳

4月の俳句帳(84)令和二年4月29日

1)粉蝶(しろちょう)の光零して川岸辺

2)立ち上がる草書の色紙春座敷

3)只管打座(しかんだざ)警策背打つ春衣

4)蝌蚪(かと)の池夜空煌めく杓子星

5)杓子道伸びて山宿蝌蚪の里

6)川渉(わた)る小鷺の脚に水温む

7)春の濠暮色を引きて歩む鷺

8)春嶺に白銀載せて壁絵画

9)春霖(しゅんりん)や音の沁み行く杣(そま)小径

10)荒れ庭に飛び出す揚羽萌ゆる翅

11)藍染めの空を深めて遅日(ちじつ)昏れ

12)廃寺の荒れるがままに穀雨降る

13)所作(しょさ)優し蝶柄お召し茶会席

14)天目の蒼く煌めく春茶室

15)歳時記を開