連載:俳句帳

5月の俳句帳(85)令和二年5月31日

1)揺らぎ舞い折れ舞う揚羽三重連

2)太文字の一期一会や夏茶室

3)黒揚羽付き添い来たる門扉まで

4)雨脚を聴きてででむし潦(にわたずみ)

5)若葉雨浸み込む命苔の庭

6)かん高く雨を呼び込む雨蛙

7)川辺道並木揺るがす青葉風

8)桑の実を所望の媼(おうな)鄙(ひな)生まれ

9)雨の降る対岸燃えし青葦辺

10)子燕の学び始めや雨の川

11)瀬の音に近寄る小鷺夏来たる

12)欄干の下の廃線草茂る

13)玉砂利を踏みて参拝新樹光

14)鳥影の蚯蚓(みみず)啄(ついば)み庭枝へ

15)木洩れ日を浴びて夏蝶翅の藍

16)川風に乗る揚