〔六根清浄と智慧の源流〕謡曲白髭と仏法・山王信仰の聖地

①湖西線高島駅から南に降ると、比良・志賀・蓬莱・和邇、比叡山坂本・大津京など古代にちなむ駅名が連なっている。比良は海神族と思しき比良明神、志賀は志賀海神社や安曇氏、蓬莱は海神・大山祇神との因縁が深い。和邇は海神配下の鰐族末裔だ。志賀の真西には、蓬莱山がそびえており、比叡山坂本は日吉大社の鎮座地、大津京は天智天皇が近江大津宮を開いた処である。
振り返ると、富士山・熊野山・熱田神宮の地がかつて蓬莱山、蓬莱郷と呼ばれたごとく、比良山系東麓の比良・志賀・蓬莱・和邇の地も、饗庭野の熊野山、安曇(あど)川流域、嶽山北麓一帯も、南麓の白髭神社辺りも、かつては神仙の輩た