藤井邦夫 の 古傷痕-新・知らぬが半兵衛手控帖(11)

★3.3 シリーズ11作目。
迷子石は時代小説にはよく登場する。日本橋の一石橋南詰の〈満よひ子の志るべ〉と湯島天神の〈奇縁氷人石〉が良く知られているようだ。湯島天神の方は子供に限らず大人も含む人探しの塔で「古傷痕」にも30男の左眉上の傷痕を特徴としていた。

今さらながらに半兵衛の閃きとか勘が物語を面白くしていることに気付く。〈左官職人〉から〈普請場〉が閃いたりと、ちょっと思いつかない展開。4話すべてがそんな展開だ。短編での事件解決には必須のことかもしれない。

もう1つは聞き込み時に相手の反応を読み取る力であろう。「何かを知っているな」「惚けているな」