北原亞以子 の 春遠からじ

★3.3 作者唯一の戦国が舞台の長編。
舞台は関東の利根川と江戸川の交わる重要拠点。時代は天正2年(1574年)の第3次関宿合戦から天正18年(1590年)の小田原落城まで。

関宿城の主は梁田持助、古河公方の重臣である。関宿で塩を商う商人の娘・あぐりは伍平太の子・さくら子を産むが、伍平太と父の蔵次は北条の内通者として命を落とす。

女の手で娘を育てるあぐりと、戦陣の中でたくましく生きる遊女・ねこの交流を描いていく。古河公方の実質的消滅、北条氏の施政、秀吉の小田原征伐と、戦に翻弄されながらも、娘の成長を重ね逞しく生きる者たち。

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