奥山景布子 の 浄土双六

★3.3 室町幕府関連の6つの連作短編。
「橋を架ける男」死人の埋葬や施粥をする時宗僧の願阿弥の生き方。
「籤を引く男」くじ引きで将軍となった義教の博奕めいた施策。
「乳を裂く女」善政の乳母から側妾となり追放された今参局。
「銭を遣う女」銭に異常な才を持つ日野富子の子や夫への屈折。
「景を造る男」新しい普請にのみ己の居場所を求める善政。
「春を売る女」富子を仇と狙って金を稼ぐ才を見出された雛女。

いずれも滅びに繋がるような屈折した為政者たちを描いてみせるが、救いようのない失望感に襲われる。救いは「橋を架ける男」と「春を売る女」ぐらいか。

カテゴリ:アート・文化