伊集院静 の いとまの雪 新説忠臣蔵・ひとりの家老の生涯 上下

★3.5 作者初めての時代小説とか。物語は赤穂藩筆頭家老の大石 内蔵助良雄(よしたか)の視点で語られる赤穂事件である。

《上巻》
大石26歳の貞享元年(1684年)、若年寄・稲葉石見守による大老・堀田正俊への刃傷事件に始まり、元禄11年(1698年)の津和野藩主が勅使饗応役を務めるまで。物語の特徴は大石が将来降りかかるかもしれない災難をあらゆる角度で想定していることにあろうか。

山鹿素行は朱子学に障る軍学を興したとしての赤穂藩お預けの9年間は、大石はじめ藩学の師としていた。その素行が大石のために、遺書を残していた。赤穂藩、備中松山藩など5万石以上の1