今村翔吾 の 塞翁の楯

★3.3 穴太衆の最高の技を持つ者を〈塞王〉といい、国友衆随一の職人を〈砲仙〉と呼ぶ。塞王が石垣を積んだ城はいかなる敵も弾くと言われ、砲仙が造った砲で攻めればどんな城も落とすと語られる。だから両者がぶつかった時には大いなる矛盾が生じることになる。どうやら、これをテーマとしたかったよう。

穴太衆の一派である飛田屋の若き指導者・匡介が石積みの経験を重ね頂を目指す物語。立塞がるのは鉄砲鍛冶の頂点に立つ国友彦九郎。本能寺直後の蒲生の日野城の防衛戦、関ケ原前の伏見落城戦、最後は関ケ原への西軍を引き留めたとされる大津城戦である。

娯楽ものと割り切って読めばいいの