青山文平 の 底惚れ

★3.5 在の農村から20歳で江戸へ出てきて22年、一季奉公を繰り返してきた男の物語。

今は町家に隠居した小藩の元藩主の屋敷で下男奉公をしている男。お手付き女中の芳は子を産んで24歳で暇を出され、相模の農家へ返される。供を命じられた男は、僅かの金で国許に返される芳に同情し、中番屋(人の弱みを金にする裏の組織)に話を持ち込んで金にする話を途中で打ち明けた。だが、芳は屋敷の主をかばい男を刺して逃亡する。

芳は人殺しをしてしまったと思い込んでいるに違いない。医者に担ぎ込まれ命を拾った男はそう思った。己が中番所の話を持ち出したばかりに。男は芳を探し出し、人殺