連載:俳句帳

6月の俳句帳(110)令和四年6月29日

1)味噌蔵の仕込む麹(こうじ)や黴(かび)の雨

2)梅雨の晴れ日の出一条海落暉(うみらっき)

3)筧水ぽたりぽたりと五月雨寺(さみだれじ)

4)老鶯と和する山寺朝読経(あさどきょう)

5)屏風絵(びょうぶえ)の墨の五彩や余白梅雨

6)青田風棚田の水面波立てり

7)黒楽の茶碗の陰翳(いんえい)初夏茶席

8)縁側へ湯呑みの二つ新茶の香

9)水郷の潮来(いたこ)伊太郎あやめ舟

10)黄を灯す宵闇途の金糸梅

11)万録(ばんろく)の細い杣道(そまみち)朱い屋根

12)桑の実をほおばる童下校道

13)あじさい雨(う)藍色流し輝きぬ

14)