連載:俳句帳

12月の俳句帳(116)令和四年12月29日

1)黒ジョカの割り水炭火(すみび)舌に滋味

2)チョコを手にオールド・パーで酌む聖夜

3)文旦酒(ぶんたんしゅ)仕込む塩梅(あんばい)日の短(ひのみじか)

4)燗ぬる目「獺祭」(だっさい)吟味で歳送る

5)凍て月の耿耿(こうこう)照らすウクライナ

6)昏鐘のおちこち伝播(でんぱ)谷凍る

7)弦楽の揺らぎに魅惑月冴ゆる

8)禰宜(ねぎ)歩く下駄音澄みし冬の朝

9)山水の墨の薄さよ寒の月

10)寒風や絹裂く悲鳴吹き鳴らし

11)蹲踞(つくばい)へ流れる筧(かけい)水枯れる

12)老脚に地下足袋