連載:俳句帳

三月の俳句帳(119)令和五年3月30日

1)早蕨(さわらび)と名歌詠みたる老舗(しにせ)菓子

2)北窓を開き蠟燭(ろうそく)薄明かり

3)花筏(いかだ)染井の栄華移ろいて

4)春光に御堂(みどう)の柱木目仏

5)川蛇行春光受けて耀(かがよ)いぬ

6)橋袂(たもと)飛び出す翡翠(ひすい)光る風

7)遡上(そじょう)ぼらぽちぽち海へ水温む

8)雨濠辺初音を洩らす白繁み

9)南高の白梅群れる白輪の目

10)庭配る紋白蝶の白メール

11)春の濠アカハジロ追ふカメラの眼

12)昏鐘(こんしょう)や福寿草庭に黄を点す

13)落ち椿真紅