高橋克彦 の「炎立つ(ほむらたつ) 壱 北の埋み火」

★3.5 奥州藤原氏の初代・藤原清衡(きよひら)の父・経清の「前九年の役」の前哨戦である「鬼切部の戦い」までを描く。

物語は永承4年(1049年)国府の多賀城から陸奥守である61歳の藤原登任(のりとう)が、亘理(わたり)郡司の息子・藤原経清、伊具(いぐ)郡の郡司・平永衡(ながひら)を伴って、安倍頼良の次男・貞任の婚儀に出かける。安倍頼良(後の頼時)は奥六郡の統治を任されている俘囚の長で数年前に本拠を南の衣川の柵に移している。取り決めは磐井(いわい)郡以南に進出禁止。

藤原登任は任期5年の残り2年となって、己の将来を思う時、ここで大きな成果